毎年、交通事故により1万人弱ものひとが亡くなり、100万人前後の人が負傷しています。交通事故は、言うまでもなく社会問題の一つです。さらに、そればかりではなく、交通事故被害者の被害救済が必ずしも正当に行われていないのではないかと懸念される現実もあり、交通事故は人権問題でもあるということができるのではないでしょうか。
特に、平成17年ごろから保険会社の保険金不払い問題がクローズアップされ、損害保険会社においても「人身傷害保険」「搭乗者傷害保険」等の不払いが多く発見されました。日本損害保険協会の発表によれば、平成19年6月時点で累計47万件、総額368億円に達する支払い漏れがあったということです。保険会社が契約者をないがしろにする、こうした問題の根は深いところにあり、被害者保護の確立は容易ではないことを示している好例です。
平成20年に施行された新保険法では、被害者の権利を守るために、それに反する合意を無効とする片面的強行法規性が規定され、画期的な前進が見られました。しかし、法規ができても運用の点で適性が図られなければ実際の前進はあり得ないのです。どんな世の中になろうとも、交通弱者保護の視点が大切であることには変わりはありません。
このことから、当団体では下記のような取り組みを行っております。
被害者学というのは、さまざまな犯罪や交通事故、自然災害などの被害者とその家族や遺族を対象に、被害を受けた者のメカニズムの解明、被害者の権利確立、支援活動などについて、あらゆる角度から研究していく学問のことです。
その中でも、専ら交通事故による被害者に対しての被害回復ノウハウについて研究しています。
如何に、交通被害者が正当な被害救済を受けることができるか、また、交通被害者の救済・支援の中で被害者の人権侵害の予防・排除を行っていくことができるかなど、交通弱者の視点から研究しています。
被害者の不満として巷間指摘されている「知らない」「受けられない」等をなくすために、交通事故被害者の立場に立った適正な被害回復のための知識の普及と啓蒙活動を行っています。
下記に、ご参考までに意外と知られていない交通賠償の基礎知識を掲載させていただきました。
【家事従事者の休業損害について】
家族のために家事労働に従事する者は、無収入であっても、男性・女性を問わず、事故によるけがのために家事労働に従事できなかった期間について、平均賃金に基づいて休業損害を請求することができます。
しかし、家事に従事しながらパート労働をしていた場合はパート賃金を平均賃金に上乗せして請求することはできません。実収入が平均賃金を上回る場合は、実収入を基礎収入として休業損害を請求することができます。
【後遺障害について】
事故によって受けた傷害が治癒しても治しきれない症状が残る障害を、後遺障害といい、医師による後遺障害診断書等により、後遺障害の等級認定(*1)を受けることができます。後遺障害の等級によって、慰謝料や逸失利益が大きく変わりますので、等級は交通賠償においてとても大切な要素です。
*1)認定された等級が不満な場合は、異議申し立てができます。異議申し立てをしても認定された等級が変わらない場合は、訴訟で裁判所に判断してもらうことになります。「後遺障害なし」と認定された場合でも、訴訟により後遺障害が認定されたり、損害保険料率算出機構が認定した等級よりも高い等級が認められる場合もありますので、異議申し立てが却下されても訴訟したほうが良い場合もあります。
また、後遺障害の診断書の提出については、医師から保険会社に直接提出されてしまうと、本人が知らないままに等級認定がされてしまっている場合もありますので、必ず患者本人が医師から受け取り、診断書の内容を確認した上で保険会社に提出するようにしましょう。
【逸失利益】
事故によって受けた後遺障害が原因で労働能力が喪失又は低下したことにより、67歳までの就労期間のうちに得られるべき所得の額。
【計算式】(逸失利益=平均賃金×労働能力喪失率×ライプニッツ係数)
東京・大阪・名古屋の裁判所では、原則としてライプニッツ係数が適用されますが、個別の事情によっては、ホフマン係数が適用される場合もあります。
下記のようなご相談や、その他さまざまな交通事故に係るご相談に専ら被害者側に立つ交通事故に詳しい弁護士がお応えしております。安心してご相談ください。
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